【開催報告】NIC-Japanセミナーシリーズ:「FCE(外国学歴・資格評価)研修プログラム」※講演資料・動画リンク掲載
NICの活動
※今回のプログラムで使⽤した資料は以下からダウンロードすることができます。
講演資料:セッション①、セッション②、セッション③、セッション④
また、本プログラムの動画は、YouTubeで2027年8月20日までご覧いただけます。
本プログラム参加募集時の告知ページはこちらから閲覧できます。
高等教育資格承認情報センター(NIC-Japan)は、令和8年7月29日(水)に「NIC-Japanセミナーシリーズ:FCE研修プログラム」をオンライン(Zoomウェビナー)で開催しました。
大学等の高等教育機関を中心に約200名が参加し、外国学歴・資格評価(FCE)に関する基礎知識や最新動向について理解を深めました。
【開催の目的】
本プログラムは、外国の学修履歴を有する者からの出願資格審査・入学資格審査等を行う大学等の教職員を対象に、外国学歴・資格評価(FCE)に関する理解の促進及び専門性の向上を図ることを目的として実施しました。昨年度に引き続き、世界規約及び東京規約の理念、学校教育法等の関係法令、外国資格評価の基本的な考え方や実務について学ぶ機会を提供するとともに、国内外の教育資格に関する情報や外国学歴・資格評価に関する専門家の知見を共有することで、適切な出願資格審査を担う人材の育成を支援することを目指しました。
講演の様子




【概要】
▷セッション①「出願資格審査の現在地」
登壇者:森 利枝(高等教育資格承認情報センター長)
森センター長からは、外国学歴・資格評価(FCE)の現状と課題について、国際的な資格承認の動向を踏まえた説明がありました。ユネスコの東京規約及び世界規約に基づく外国資格承認の考え方や、日本における出願資格審査の仕組みが紹介されるとともに、高等教育機関が外国資格承認における「権限ある承認当局」として果たす役割について解説がありました。また、全国の大学を対象とした調査結果をもとに、日本におけるFCEの実施体制や担当者の経験年数、情報収集の実態などが共有されました。さらに、各高等教育機関が個別に出願資格を判断する分権的な制度において、情報提供や研修、ネットワーク形成を通じた「支援された分権化」を推進していくことの重要性が説明されました。
▷セッション②「日本の教育資格枠組み(JEQF)の意義と活用可能性」
登壇者:野田 文香 (大学改革支援・学位授与機構 研究開発部教授)
野田教授からは、日本の教育資格枠組み(JEQF)の概要と活用可能性について説明がありました。資格枠組み(NQF)が各国の教育資格を比較・理解するための重要な仕組みであることが紹介されるとともに、ユネスコが策定した国際標準教育分類(ISCED)や各国のNQFが、教育課程や資格の水準及び位置付けを理解する際の共通の参照ツールとして活用されていることが説明されました。また、日本の教育資格を海外へ適切に説明するための参照ガイドとしてJEQFが整備された経緯や意義が紹介されるとともに、各国で異なる資格の名称が存在するなか、資格を適切に比較・理解するためには、資格名称だけでなく、ディプロマ・サプリメント等を通じて、学習成果や質保証、教育制度上の位置付けなどの補足情報を併せて示すことが重要であるとの説明がありました。
▷セッション③「『大学入学資格ガイド』紹介」
登壇者:中島 伊織(文部科学省高等教育局大学振興課法規係長)
中島氏からは、「大学入学資格ガイド」の概要と、外国での学修歴を有する者の入学資格を判断する際の基本的な考え方について説明がありました。大学入学資格制度の趣旨やガイドの構成に加え、外国資格の審査に当たっては、修業年限のみで判断するのではなく、当該国の教育制度における課程の位置付けや大学への接続性を確認することが重要であることが示されました。また、外国の学校教育課程修了者やインターナショナルスクール修了者など、多様な学修歴を有する出願者への対応事例を交えながら、制度の趣旨を理解した上で適切に判断することの重要性が説明されました。さらに、外国資格の審査では、過去の取扱実績のみに依拠するのではなく、最新の制度情報や公的な情報源を確認しながら判断する必要があることが示されました。
▷セッション④「FCEの実践における有益な手法・情報紹介」
登壇者:堀田 泰司 (高等教育資格承認情報センター シニアアドバイザー)
堀田シニアアドバイザー(SA)からは、FCE実務の進め方や情報収集の手法について説明がありました。FCEにおける基本的な審査手順に加え、出願書類の真正性確認の重要性や、確認時の具体的なポイントについて紹介がありました。また、志願者による改ざんや偽造証明書への対応事例を踏まえながら、発行機関への照会やオンライン確認システムの活用など、真正性確認の手法について解説がありました。さらに、各国政府機関や教育関係機関が提供するオンライン確認システムのほか、NIC-Japanや海外の資格承認機関等が提供する情報源の活用方法が示され、複数の情報源を参照しながら信頼性の高い情報に基づいて判断することの重要性が強調されました。
▷Q&Aセッション
登壇者:森センター長、野田教授、中島氏、堀田SA
各セッション後のQ&Aでは、FCE担当者の育成や国際的な資格承認の考え方、日本の大学入学資格制度の運用、出願書類の真正性確認など、実務に関する多くの質問が寄せられました。森センター長からは、各高等教育機関の実情を踏まえた体制整備や情報提供・研修機会の重要性について説明があり、野田教授からは、日本の教育資格を海外へ説明する際には、資格名称に加え、資格レベルや質保証等の補足情報を示すことの重要性が示されました。中島氏からは、大学入学資格の判断における基本的な考え方や、多様な学修歴を有する志願者への対応について説明がありました。また、13年制の教育課程を有する国の学修歴の取扱いなど、実務上判断に迷いやすい事例についても解説が行われました。堀田SAからは出願書類の真正性確認やFCE業務に関する知見の蓄積・共有の重要性が示され、FCEに関する理解を一層深める機会となりました。
▷【総括・閉会挨拶】
登壇者:森センター長
閉会に当たり森センター長からは、登壇者への謝辞とともに、本研修の総括が述べられました。特に、大学等の高等教育機関は出願資格審査における承認当局として、自律的かつ合理的な判断を行う重要な役割を担っていることが改めて強調されました。また、FCEの実務では様々な判断が求められることから、各高等教育機関やNIC-Japanが蓄積してきた知見や事例を共有し、関係者間のネットワークを通じて理解を深めていくことの重要性が示されました。最後に、NIC-Japanとして今後もFCEに関する情報提供や研修を継続し、関係者との連携を深めながら取組を進めていくとの展望が示され、盛況のうちに本プログラムを締めくくりました。

